
正直に言えば、嫌な相手だった。
マウンドに立つのは東克樹。ここ数年、何度も苦しめられてきた投手だ。
だがこの日、立ち上がりで魅せたのは金丸夢斗だった。
キレのあるボールで三者を抑え、完璧な入りを見せる。
――しかし、その上をいくのが東。
緻密な投球術で主導権を渡さない。まさに“嫌な相手”らしい立ち上がりだった。
それでも、この日のドラゴンズは違った。
最近当たりを取り戻している細川成也がヒットで出塁。
続く阿部寿樹も四死球でつなぎ、チャンスを広げる。
しかし、好調の鵜飼航丞がゲッツー。
流れは途切れたかに思えた。
だが、ここで終わらないのが今のドラゴンズだ。
打席に入ったのは村松開人。
振り抜いた打球は右中間を破るタイムリー三塁打。
先制。
重苦しい空気を、一振りで吹き飛ばした。
昨年の金丸のイメージは決して悪くはなかった。
むしろボールは一級品。いいピッチングも多かった。
だが、どこか物足りなさが残る。
👉「0で抑えきれない」
👉「試合を完全には支配しきれない」
そんな印象があった。
だからこそ今シーズン、ひとつ注目していた。
「味方が点を取った直後の投球」――ここを抑えられるかどうか。
そしてこの日、金丸はそれをやってのける。
3回、4回。
スコア以上に価値のある、“ビシッと抑える投球”。
👉流れを渡さない投球。
確かな進化を感じさせた。
4回、再びチャンス。
細川の二塁打で流れを作ると、阿部が応える。
打球はそのままスタンドへ――2ランホームラン。
試合の主導権を握った。
だが、本当の分岐点はその直後に訪れる。
5回。
金丸がヒットを許し、気づけば2アウト一・三塁。
あと一つ――しかし最も神経を使う場面。
一本出れば、一気に流れは相手へ傾く。
それでも金丸は動じない。
丁寧に、そして強気に。
最後の打者を打ち取り、このピンチを封じ込めた。
👉最大の山場で、流れを渡さない。
この踏ん張りこそが、この試合のキーポイントだった。
6回、7回は両チームともにヒットは出るものの得点は入らない。
試合は緊張感を保ったまま終盤へ。
そして9回。
マウンドに上がったのは守護神、松山晋也。
先頭から簡単に2アウト。
――勝利は目前だった。
だが、そこから試合は牙をむく。
死球、ヒット、そして死球。
気づけば2アウト満塁の大ピンチ。
それでも松山は崩れない。
最後の一人を打ち取り、ゲームセット。
連勝は4へ。
だが、この一勝が意味するものはそれ以上に大きい。
苦手を乗り越え、
エースが流れを引き寄せ、
守護神が意地で締める。
👉「まだまだ伸ばせる」
そう確信させる、最後のアウトだった。
そして週末――待っているのは阪神タイガース。
だがその阪神に暗雲が立ち込めている。
不動のリードオフマン近本光司、
そして中軸の森下翔太に相次ぐアクシデント。
チームの軸が揺らぐ中で迎える直接対決。
流れは、確実に動こうとしている。
ただ――これは一チームの問題ではない。
今シーズンはどこか、例年とは違う難しさがある。
その背景にあるのがワールド・ベースボール・クラシック。
調整のズレ、ピークの違い。
その影響が、少しずつ“故障”という形で現れているようにも感じる。
だからこそ――
コンディションを保ち、戦い抜けるチームこそが最後に上にいる。
この4連勝は、ただの結果ではない。
“戦い抜けるチーム”であることを示し始めた証だ。





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